中山金杯

新年最初の重賞として、多彩な実力馬が集う中山金杯。「一年の計は金杯にあり」と言われ、多くのファンが初当たりを目指す。競馬界の新たな幕開けとなるこの一戦は、ファンや関係者にとって特別な意味を持つレースだ。

ハンデ戦ならではの波乱含みの展開や、新たなスター馬の誕生に注目が集まる。斤量の壁を乗り越えた馬が主役になるのか、それとも軽ハンデを生かした伏兵が台頭するのか。競馬の醍醐味が詰まった一戦となるだろう。

中山金杯の出走予定馬
アドマイヤビルゴ
アルナシーム
エアファンディタ
カラテ
カレンシュトラウス
ギャラクシーナイト
クリスマスパレード
ショウナンアデイブ
シンリョクカ
ジェイパームス
セイウンプラチナ
ディオスバリエンテ
パラレルヴィジョン
ホウオウビスケッツ
ボーンディスウェイ
マイネルモーント
ラーグルフ
リカンカブール
レガトゥス

各陣営の情報まとめ

ホウオウビスケッツ

有馬記念は賞金順で除外となり出走が叶わなかった。その憂さ晴らしとも言える中山金杯に向け、陣営の期待は高まっている。

12月31日の最終追い切りでは、美浦ウッドコースでアイオリア(3歳未勝利)との併せ馬を実施。5ハロン67秒3-12秒0の時計を計時し、馬なりで楽に先着した。奥村師は「だいぶ仕上がっているので、状態は十分過ぎるくらい。馬体重も約520キロと成長分を含めて理想的」と仕上がりに自信を見せた。

今回の中山芝2000mは、昨年の皐月賞以来の舞台となるが、調教師は「函館記念で実績があるように、どんな条件でも対応可能なタイプ。岩田康誠騎手(騎乗停止で乗れず)との相談でこの距離がベストという結論に至った」と舞台適性を強調。

一方で、59.5キロのトップハンデは大きな課題。「斤量は重いが、逆に周囲から“もっと重くしておけば良かった”と思わせる競馬をしてほしい」と期待を込める。

今回は短期免許で来日中のドイル騎手との初コンビ。「調教後に『クレバーで冷静。息遣いも良好』と高評価だった。レースでも冷静な騎乗に期待している」と調教師は語る。函館記念以来の重賞制覇と共に、新年最初の重賞タイトルを手にする準備は整った。

シンリョクカ

牝馬としては24年ぶりの優勝を目指し、陣営はさらなる飛躍を目指す。

31日に行われた最終追い切りでは、美浦ウッドコースでの3頭併せで5ハロン66秒6-11秒5の好時計を記録。ピュアキアン(3勝クラス)、ラキアレクサンダー(1勝クラス)を5馬身追走から鋭く加速し、1馬身半先着した。鞍上の木幡初也騎手は「気持ちよく流して、無理をさせずに仕上げた。イメージ通りの追い切りができた」と好感触を得た。

前走のエリザベス女王杯では、終始内で包まれる展開ながらも4着に粘り込むパフォーマンスを見せた。「前走は強いメンバー相手に善戦。グランプリホース(レガレイラ)にも先着できたのは評価できる」と木幡騎手も納得の表情。

今回の中山芝2000mは、新潟記念と同距離であり、昨春の中山牝馬S(3着)での経験も生きる。竹内調教師は「中山コースは合うし、1800~2200mがこの馬にはベスト。躍動感も増しているので期待している」と語る。

懸念材料として挙げられるのは56キロのハンデ。「55キロでも良かったが、これも評価の一つ。経験済みの斤量だし問題ない」と陣営は冷静に見つめる。重賞2勝目と春のG1戦線への布石を打つための重要な一戦。牡馬相手に再び実力を示し、新年の華々しいスタートを切れるか。

ラーグルフ

2年前の中山金杯覇者が、再び同じ舞台で復活を目指している。宗像厩舎にとってはラストイヤーの新年初戦。スタッフ全員が一丸となり、かつての輝きを取り戻すための仕上げに余念がない。

最終追い切りでは、美浦ウッドコースで単走での調整を実施。5ハロン69秒5-12秒2の時計を馬なりで計時し、動きの良さをアピールした。宗像調教師は「蹄の不安も解消し、ここにきて予定通りの調整ができている。動きも2年前に勝った時と遜色なく、むしろ良い状態だ」と自信を覗かせる。

前走オールカマーは7着だったが、勝ち馬との差はわずか0.5秒。中山芝での経験と適性を考慮すれば、今回も十分に巻き返しが可能な状況だ。鞍上には年男の菅原明良騎手が再び起用され、昨年の中山記念2着以来のコンビとなる。菅原騎手は「中山コースは合うイメージがある。再び良い結果を出したい」と意気込みを見せた。

一方、懸念材料は6歳という年齢と5戦勝ち星のない昨年の成績だ。しかし、厩務員は「2年前と比較しても状態は良い。年齢的な衰えは感じない」と太鼓判を押す。さらに、ハンデも予想より軽い57.5キロに収まり、条件的なアドバンテージも期待される。宗像師は「最後の年を迎える厩舎にとって、良いスタートを切りたい。ラーグルフが再び大舞台で輝いてくれることを願っている」と熱い思いを語った。

クリスマスパレード

中山芝2000mで3戦3勝、コースレコードを保持するクリスマスパレード(牝4、加藤士津八厩舎)が新年初戦の中山金杯で重賞2勝目を目指す。紫苑Sでの勝利、そして秋華賞での健闘を経て、陣営はさらなる飛躍に期待を寄せている。

最終追い切りでは、美浦ウッドコースで単走調整を実施。5ハロン67秒2-11秒6を計時し、外ラチ沿いを強めに追われるとスムーズに加速し、力強い伸びを見せた。加藤調教師は「乗り手は遅く感じていたが、時計を聞いて驚いていた。非常に順調に来ている」と手応えを感じている。

前走の秋華賞ではハイペースの中、先行して5着に粘った。「前で戦って強い競馬をした」と加藤調教師は高く評価しており、ハイレベルな3歳牝馬世代の中でも「5本の指に入る」とそのポテンシャルを確信している。

今回の課題は、古馬との初対戦と力関係。55キロのハンデは想定の範囲内だが、牡馬との対決が初めてとなるだけに、レース中の展開が重要となる。「中山はこの馬に合っている。スムーズに運べれば、結果はついてくるはず」と指揮官は強気。

アルナシーム

昨夏の中京記念で重賞初制覇。前走のマイルCS(11着)はG1のハイペースに苦しみ、展開にも恵まれなかったが、今回の条件替わりが好材料となりそうだ。

最終追い切りは栗東Cウッドコースで藤岡佑介騎手が騎乗。6ハロン84秒5-11秒7の時計を刻み、しまいまで集中力を保った走りを見せた。鞍上は「前回の追い切りでは集中力に課題がありましたが、今回は最後までしっかり走れている。良くなっていると感じます」と好感触。

橋口師も「折り合い面での成長が大きい。マイルCSでは忙しかったが、今回の2000mはむしろ適距離。小回りが得意なこの馬に中山コースは合うはず」と自信をのぞかせる。過去の2000m戦(函館記念6着、ケフェウスS8着)では結果が出ていないが、「気性面と体つきが当時とは別馬」と陣営はさらなる成長を強調する。懸念材料としては、久しぶりの2000m戦でどこまで力を発揮できるかが挙げられるか。

ボーンディスウェイ

昨年の中山金杯で4着に敗れたが、今年の同舞台でリベンジを狙う。ハーツクライ産駒らしい晩成型で年齢を重ねて力をつけ、鞍上の木幡巧也騎手も「昨年以上に状態が良い」と太鼓判を押している。

最終追い切りでは、美浦Wコースで6ハロン82秒9-11秒6を馬なりで記録。3週連続で手綱を取った木幡騎手は「2週前から仕上がりが進んでおり、動きには文句がない。気合いも乗っており、非常に良い状態」と好感触。

前走のオクトーバーSでは、ハイペースの中で3番手から楽々と押し切る完勝劇を披露。中山コースは【2-1-1-3】と相性が良く、昨年の弥生賞ではアスクビクターモアやドウデュースに次ぐ3着に入るなど、コース適性は十分に証明済みだ。

今回の課題はスタート後の加速。木幡騎手は「加速に時間がかかるタイプ。スタートしてからスムーズにポジションを取れるかが鍵」。一方で、中山2000mの1角までの距離が助けとなり、自分の形に持ち込めれば持ち前のしぶとさを存分に発揮できる舞台でもある。

リカンカブール

前年の中山金杯覇者が連覇を目指す。レース当日は鞍上の津村明秀騎手の39歳の誕生日。バースデーVと連覇の栄冠を目指し、陣営は盤石の態勢を整えている。

最終追い切りは栗東坂路で行われ、トーラスシャイン(2勝クラス)を2馬身追走して併入。4ハロン51秒5-12秒2の好時計をマークした。田中調教師は「調教駆けする相手に負荷をしっかりかけて良い動きだった。当初からここを目標に体を作ってきたので仕上がりは文句なし」と太鼓判を押す。

中山コースは【3-0-1-1】と好成績を誇り、前走のオールカマー(G2)でも番手からしぶとく粘り込み3着に入った。田中調教師は「中山では機動力と器用さが活きる。この条件で再び重賞を勝たせたい」と意気込む。調教師としてのキャリアを積み上げつつある田中師にとっても、この連覇は大きな意味を持つ一戦だ。

一方、課題は昨年より2キロ増の58キロのハンデ。ただし、津村騎手は「操縦性が高く、競馬がしやすい馬。中山の舞台は歓迎」と好感触。昨年は初コンビでの重賞初制覇に導いたパートナーとの相性も抜群で、レース当日は正真正銘のバースデーVの可能性が期待される。

セイウンプラチナ

最終追い切りは美浦ウッドコースで併せ馬を実施。5ハロン69秒2-11秒5の時計を記録した。併走馬モンドデラモーレ(1勝クラス)には2馬身遅れたものの、千葉調教師は「併せた馬の力が目立っただけで、この馬自身の動きは良かった。しまいの反応も良く、前進気勢があるのが何よりの収穫」と評価。仕上がりに関しては申し分ない様子。

セイウンプラチナは逃げを得意とするタイプで、展開の主導権を握ることが鍵となる。「七夕賞では外枠に泣かされた。今回は内枠を引ければさらに競馬がしやすいだろう」と千葉調教師は枠順に注目する。また、「中山の芝は時計がかかるようになっており、条件的には向く」とコース適性にも期待を寄せる。

過去、中山金杯では「金」にまつわる名前を持つ馬が好成績を残してきた。セイウンプラチナの馬名に含まれる「白金」にも、その「黄金伝説」を引き継ぐ可能性がある。

パラレルヴィジョン

昨年初頭に中山マイルでニューイヤーSとダービー卿CTを連勝。その素質が改めて問われる舞台として、新年の中山金杯に挑む。マイル路線から一転して2000m戦への復帰だが、過去【3-0-2-0】という好成績を誇る得意条件で、復活の狼煙を上げられるか注目。

最終追い切りは美浦ウッドコースで3頭併せを実施。馬なりで5ハロン66秒7-12秒0を記録し、軽快な脚さばきと毛ヅヤの良さが目立った。国枝調教師は「順調に来ています。直前は調整程度にして、競馬ではせかさずに運びたい」と、仕上がりに満足した様子。

昨年秋は富士Sや安田記念などで二桁着順が続いたが、「状態が今ひとつだった」と国枝調教師は振り返る。一方で今回については「動きが良く、調整はうまく進んでいる。2000mの距離も問題ないし、中山は馬に合っている」と復調を実感しているようだ。

懸念材料としては、久々の2000mへの対応が挙げられるが、祖母イグジビットワンが同距離の欧州重賞を制している血統背景や、これまでの戦績からも適性は十分に期待できる。枠順については「真ん中より内が理想」と語り、スムーズな競馬ができれば上位争いも十分可能だろう。

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