有力馬チェックと関係者情報のまとめ。
クロワデュノール
「今回は全く違います。本当に動きが良くなりましたね」と語る斉藤崇師。クロワデュノールはこれまで2戦2勝。新馬戦を難なく突破すると、続く東スポ杯2歳Sでは休養明けプラス24キロの馬体増という万全とはいえない状態ながら、最後は持ち前の地力で他馬をねじ伏せての勝利を収めた。「前回はまだまだ仕上がり途上。それでも勝ち切れたのは、この馬のポテンシャルの高さ」と助手も驚きを隠さない。
今回は1週前追い切りで見せた動きに上昇の兆しが顕著だった。栗東CWコースで3頭併せの調教を行い、僚馬を力強く突き放して最先着。「3コーナーからペースを上げる場面でも余裕があり、バランス良くゴールできた」と北村友一騎手も手応えを感じている。さらに、最終追い切りでも鋭い反応を見せ、着実に仕上がりを進めている様子がうかがえた。
初の中山芝2000メートルという舞台設定についても、斉藤師は「自分から動ける馬なので、小回りでも問題ない」と信頼を寄せる。鞍上の北村騎手も「右回りは初めてだが、スムーズに誘導できれば十分力を発揮できる」と自信をのぞかせた。ホープフルSはこれまでにも東スポ杯2歳S組が活躍してきたレースであり、クロワデュノールもその歴史に名を刻む大きなチャンスだ。
マスカレードボール
「地力を信じています。あとはジョッキーにお任せするだけです」と語る助手。同馬は父ドゥラメンテ譲りの非凡な瞬発力を武器に、デビュー以来2戦無敗。前走アイビーSでは、4コーナーでのモタつきから一転、直線でギアを切り替えると一気に突き抜け、1分45秒8という好時計を記録した。手塚調教師も「前走の時計を見る限り、ポテンシャルは間違いなく高い」と高く評価している。
しかし、今回は初のコーナー4回の中山芝2000mが舞台となり、「まだ幼さが残る面があるだけに、コーナーリングがポイントになる」と懸念材料を挙げる。
最終追い切りでは、美浦ウッドでの3頭併せを実施。ラスト1ハロン11秒7を計時し、僚馬を楽々と先着する動きを見せた。嶋田騎手が「先々週より確実に良化している。追い切りもうまくいった」と語れば、手塚師も「コーナーでの手前替えがスムーズになり、成長を感じる」と上昇カーブを実感している。
最大の課題は枠順だ。大外18番枠は過去のホープフルSで馬券圏内に絡んだ実績がない。「不利な条件に変わりないが、他馬の出方を見ながら冷静にポジションを取れるのが戸崎騎手の強み」と助手は鞍上への信頼を寄せる。初の小回りコースを克服し、大外からの戴冠劇を演じられるか。
マジックサンズ
休養明け4カ月ぶりとなる今回は、栗東CWコースでの意欲的な調整が光る。1週前追い切りでは、7ハロン95秒1、6ハロン79秒1という一番時計を記録。最終追い切りでも3頭併せで抜群の手応えを見せ、ラスト1ハロン12秒0の時計を楽々とマークして僚馬を振り切った。須貝師も「動く馬を相手に最後までしっかりやった。引っ張り切りでもこれだけの時計が出る。まだこれからの馬だが、能力の高さは間違いない」と自信を見せる。
ただし、課題もある。マジックサンズは過去2戦とも洋芝で、今回は初の中山芝2000メートルが舞台。コーナーリングが鍵を握るが、「ここまでしっかりと負荷をかけた調教ができた。力を出し切れれば十分勝負になる」とトレーナーは意気込む。
鞍上の佐々木騎手は今年3つの重賞を制し、飛躍のシーズンを送った。「これだけ期待を背負う馬でG1に挑めるのは貴重な機会。しっかり結果を出したい」と静かな決意を語る。6枠12番の偶数枠についても陣営は「位置取りの自由度が高く、理想的」と好感触だ。
札幌2歳Sで下したアルマヴェローチェが後に阪神JFを制した事実からも、この馬のポテンシャルは間違いない。3連勝での戴冠を果たせば、クラシック戦線でも中心的存在となることは確実だ。
ピコチャンブラック
ピコチャンブラックは新馬戦で7馬身差の逃げ切り勝ちを飾り、その後のアイビーSでは道中で馬群に控える競馬を経験。「前走で我慢する競馬ができたことが大きい」と調教師は評価する。今回はその経験を生かし、自在性が求められる中山芝2000メートルで能力を発揮する見込みだ。「先行力もあり、中山コースは合うと思う」と手応えを語る。
最終追い切りでは、美浦Wコースで単走ながらスピード感溢れる走りを見せ、5ハロン67秒8、ラスト1ハロン11秒2をマーク。上原師も「道中でしっかり折り合い、最後は抱えたまま伸びた。理想的な追い切りだった」と満足げだ。また、川田騎手との調整でハミをリングからトライアビットに変更。より細やかな操作性を重視した馬具選びが功を奏するか注目される。
ただし、気性面の課題もある。1週前追い切りではスイッチが入りすぎて制御に苦労した場面も。「テンションのコントロールが鍵」と上原師は懸念を隠さない。それでも「体はだいぶ絞れている。最大限の力を発揮できれば勝ち負けになる」と期待を込める。
枠順は7枠15番。やや外目ではあるが、調教師は「この枠であれば問題ない。川田さんと相談して戦法を決める」と柔軟な対応を示している。
ジュタ
2022年のセレクトセールで3億2000万円の値がついた高額馬。デビュー戦は東京芝1800メートルで好位から楽々と抜け出し、1馬身3/4差の完勝。その後は短期放牧を経てリフレッシュされた状態で帰厩した。1週前追い切りでは栗東CWコースで6ハロン80秒3-11秒0の好時計をマークし、脚力の高さをアピールした。「馬群の中で我慢が利き、操作性が良い。大人びた気性も武器です」と助手も好感触を得ている。
舞台替わりについて矢作師は、「東京のような切れ味勝負より、中山のようなタフなコースの方が合っている」と適性に太鼓判を押す。中山芝2000メートルはコーナー4つと2度の急坂が特徴で、今回もタフな戦いが予想されるが、ジュタは母系にダート血統を持つため、パワー面でも問題ないだろう。
一方で、まだ緩さの残る体つきが課題として挙げられる。矢作師は「持っているポテンシャルに体が追いついていない。ただ、それだけ成長の余地があるということ」と前向きに捉える。枠順は外目の8枠16番に決定。「昨年も外枠で悔しい思いをしましたが、今年こそリベンジを」と陣営は闘志を燃やす。
アマキヒ
「順調に来ています。枠はあまり良くないですが、外から先行する形で粘る競馬をしたい」と語る国枝師。2010年の牝馬三冠馬アパパネを母に持つ良血が、キャリア1戦1勝の身でG1に挑む。
デビュー戦は10月末の東京芝1800メートル戦。スタート後すぐに先手を取り、道中はフワフワした走りを見せながらも最後には差し返して頭差で勝利。この時の2着馬・ロジャリーマインや3着馬がその後に勝ち上がり、レースレベルの高さが証明された。
1週前追い切りではルメール騎手が騎乗し、美浦ウッドで古馬オープン馬を相手に併入。ラスト1ハロンを12秒3でまとめ、鞍上は「フットワークが良く、乗りやすい」と高評価を下した。さらに最終追い切りではしっかりと負荷をかけられ、6ハロン81秒2-12秒0を計時。国枝師は「これなら大丈夫。全体的に体に実が入り、気持ちも大人になってきている」と状態の上昇を実感している。
課題はキャリアの浅さと経験不足だが、血統面では魅力十分だ。母アパパネは5度のG1制覇を誇る勝負強さの持ち主で、半姉アカイトリノムスメも秋華賞を制した実績がある。「辛勝をものにするタイプの血統。前に行ける脚を武器に中山の舞台にも合う」と調教師も適性を見込む。
ヤマニンブークリエ
「いい枠ですね。ゲートの中でもおとなしいし、スタートさえ決めれば」と語る松永幹師。鞍上にはJRA・G1完全制覇が懸かるレジェンド、武豊騎手を迎える。
ヤマニンブークリエはデビュー戦で鮮やかな差し切り勝ちを収めると、続く黄菊賞では先手を取って粘り込み2着に健闘。勝ち馬は朝日杯FSで2着と強豪を相手に好走した実力馬だ。その背景を考慮すれば、ホープフルSでも十分戦える素質があるといえる。松永師は「前走は押し出される形での逃げでしたが、自在性のある馬なのでタメる競馬もできます」と強みを語る。
最終追い切りはCウッドコースでの併せ馬。未勝利馬を相手に終始余裕のある手応えで首差先着し、6ハロン82秒4-11秒8を計時した。松永師も「やれば動くし、力はある。これ以上ない仕上がり」と手応えをつかんでいる。
鞍上の武豊騎手は「あと1つまで来ているので、最後をいい競馬で締めくくりたい。まだ奥がありそうな馬で、将来性も十分」と語り、過去5度挑戦して達成できなかったホープフルS制覇への意欲を見せている。
枠順は4枠7番と理想的な配置。フルゲートで揉まれるリスクも軽減され、馬の能力を最大限に引き出せる条件だ。これまでのレース内容や調教での動きを見ても、持ち前の機動力と粘り強さを活かす展開が期待される。
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